石川県 能登方面へ橋のコンクリート診断の調査に行ってきました。
調査対象の橋梁は平成10年供用と比較的新しいものでした。
この中で珍しい劣化がありましたので報告します。
1つは、壁高欄でポップアウトが多発していることでした(写真1および写真2参照)。
原因には施工時に使用したセメントの硫酸の成分が高かく、コンクリートの中性化の過程で硫酸アルカリが濃縮してポップアウトを生じさせたと考えます。
また、酸性雨の影響も考えられますが、特定のスパンの壁高欄だけがこのようにポップアウトが多発していることから、酸性雨の影響については除外されますね。
もう一つは、伸縮装置の後打ちコンクリートにはく離が多発していることでした(写真3参照)。
伸縮装置は、橋の温度変化やたわみによる挙動を吸収するために路面上に設置されています。
雪国では除雪の際、除雪車のスノープラウが伸縮装置を引っ掛けないように誘導板と呼ばれる鋼材のリブが後打ちコンクリートに埋め込まれています。
はくりは誘導板近辺に発生していました。
私はこのような後打ちコンクリートの損傷を見たのは初めてでした。
しかし、後打ちコンクリートをよく観察してみるとアルカリ骨材反応による白色ゲルが確認できました(写真4参照)。
はく離の原因は、アルカリ骨材反応により発生したひび割れに交通荷重が加わり、コンクリートが損傷したものと考えます。
平成10年供用ということは当然、アルカリ骨材反応抑制対策が実施されています。
アルカリ骨材反応の発生には、冬期に散布される凍結防止剤(主成分NaCl)が関与している可能性が高いですね。
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